FStateManは、財務諸表管理システム(Financial Statement Manager)の略です。
FStateManの目的は、金融庁のEDINETサイトに提出された企業の有価証券報告書のデータを収集し、財務諸表分析で推測した財務指標を基に、投資を支援することです。
利用対象者は個人投資家を想定しているので、簡単な操作で効率よく処理できるように考慮されています。
処理速度も個人が所有しているPCでストレスを感じないようにチューニングされています。
FStateManは大きく二つのモジュールから構成されています。
提出書類の非財務情報をPDFファイルで表示できます。
有価証券報告書の注意書きやセグメント情報等の詳細な情報が参照できます。
登録した財務データをcsvファイルに出力できます。
これにより、財務データを容易に加工することができます。
個人が資産構成を貯蓄から投資へ重点を移すためには普段から投資情報を効率的に収集・分析する習慣を身につけていることが大切です。
そのためには、経済新聞などからの企業情報収集、企業の財務状況の分析、株価動向の管理を普段から行っている必要があります。
SoftHompoは、このような観点から個人投資家支援ツールとして、
●NewsCollect(新聞記事管理ツール)
●StockManage(株価データ管理ツール)
●FStateman(有価証券報告書管理ツール)
を開発し公開しています。
これらのツールを使用することにより、短時間で効率的に投資情報を管理することができます。
【説明】
FStateManは、同一会計期間のデータの履歴を保存します。
任意の会計期間の財務表は、最後に提出された書類の財務表のみが表示されます。
したがって、決算短信の財務表は、EDINETからその会計期間の書類を登録した時点で表示されなくなります。
【注意】
脚注などのTextBlockは登録しません。
これらのファイルは、データベースファイルに保存されています。
利用者が個々のファイルを管理する必要はありません。
XBRLファイルの表の構成は、
スキーマファイル
名称リンクファイル
表示リンクファイル
定義リンクファイル
計算リンクファイル
で定義されます。
表の各要素の値は、コンテキストを通してデータと関連付けられます。
FStateManのデータ構造は、これと同じ構成で保存・管理されます。
データが表から分離した構造にすることにより財務諸表分析の時に直接データにアクセスすることが可能になっています。
ここでは、FStateManを使用する手順について述べます。
バージョン10.x.xからアップデートした場合は、起動時にバージョン10のデータファイルからのデータ転送促進画面が表示されます。
データを転送する場合は、ボタンを押下してください。
バージョン11のデータファイルは、同じフォルダに作成されます。
バージョン11のデータファイルのサフィックスは*.fsdb2
から*.fsdb3
に変更されました。
古いデータファイルは削除してかまいません。
バージョン11のデータファイルはサイズが小さくなります。
【注意】
データ転送は新規にデータベースを作成した直後でなくては実行できません。
提出書類情報を登録してしまうとデータ転送できません。
【注意】
バージョン12でFStateManにFSanalyzerの財務諸表分析機能を統合しました。
FSanalyzerを使用していた場合は、[ファイル]>[データ転送2]メニューでFSanalyzerのデータを取り込むことができます。
FStateManのインストール時、データベースファイルはドキュメントフォルダ(C:\Users\[ユーザ名]\Documents\FStateMan.fsdb3)に作成されます。
複数のPCで同じデータを参照するような場合は、NAS(Netowork Attached Storage)にデータベースファイルを作成することができます。
コードリストファイルの登録手順
[設定]>[APIキー]メニューを選択してAPIキーを設定してください。
EDINETサイトからXBRLファイルを取得する場合登録したAPIキーを設定する必要があります。
決算短信は、JPXから取得するのでAPIキーを設定しなくてもXBRLファイルは取得できます。
[書類一覧]>[書類一覧]メニューを選択し”書類一覧”画面を表示します。
当日あるいは過去の提出日に提出された提出書類一覧情報をEDINETサイトから取得します。
提出日を当日に設定した場合は、現在時刻までに提出された書類が表示されます。
ボタンで、表示する書類を登録する文書のみに設定しておくと便利です。
XBRLファイルを登録する文書のみが表示されるので、データ登録が簡単にできます。
”書類一覧”画面で、必要なXBRLファイルを選択して登録します。
この時、参照しているタクソノミが登録されていない場合は、ネット上から自動的にダウンロード・登録されます。
登録企業情報も更新されます。
登録した企業の財務表が、FStateManで表示できます。
タクソノミは、XBRLファイル形式からリレーショナルデータベースの形式に変換して登録するため、 多少時間がかかります。
[書類一覧]>[決算短信]メニューを選択します。
TDnetサイトからXBRLファイル情報を収集して表示します。
登録するXBRLファイルは、報告書の本表のみです。本表以外のXBRLは登録されません。
複数企業の財務状況を比較する場合は、財務表の金額をそのまま比較するよりは財務指標を比較した方がよりわかりやすくなります。
株式価値評価モデルを使用する場合は、StockManageツールの株価データが必要になります。
その他の財務指標の計算ではFStateManの中でクローズしています。
財務諸表分析は、企業の収益性、安全性、リスク、成長性そして、
資本資産価格モデル(CAPM)による株式価値の財務指標を計算して、
長期投資候補銘柄を探索することを目的にしています。
これらの分析を手間をかけずに機械的に実行できる機能を提供します。
開発は下記の【参考文献】の
第8章 収益性の分析
第10章 安全性の分析
第11章 不確実性によるリスクの分析
第12章 成長性の分析
第14章 株式価値評価モデル
を参考にしています。
モデルの詳細を知りたい場合は参考文献を参照してください。
【参考文献】
[財務諸表分析]>[国債利回り]メニューを選択して国債利回りデータを登録します。
[過去の金利登録]ボタンを選択し財務省のHPから過去の国債利回りデータを登録します。
[今月の金利登録]ボタンを選択し財務省のHPから今月の国債利回りデータを登録します。
【注意】
株式価値評価モデルを評価する場合、事前に国債利回りデータを収集しておく必要があります。
[財務諸表分析]>[財務諸表分析]メニューを選択して分析を実行します。
[財務諸表分析]>[項目別分析結果表示]メニューを選択して分析結果を表示します。
[データ表示]>[企業一覧]でも見られます。
収益性の分析のために、総資本事業利益率(ROA)と、
自己資本純利益率(ROE)と求めます。
また、ROA,ROEから売上高純利益率、総資本回転率、財務レバレッジも求めます。
安全性の分析のために、インタレスト・カバレッジ・レシオを求めます。
不確実性によるリスク分析のために損益分岐点を求めます。
現在の会計制度では、ほとんどの企業で製造原価の詳細は公開されていません。
したがって、ここでは損益分岐点を最小二乗法で求めます。
入力として、売上高と費用の時系列データを与えて費用を固定費と変動費に分解します。
最終的に安全余裕度を求めて比較企業のそれと比べて投資判断を支援します。
財務データとしては、通期データ(12か月)と四半期データ(3か月)が存在します。
固定費でも解析期間が長くなれば、変動して解析精度が悪くなります。
可能であれば、2年間の四半期データを使用して分析すのが好ましい。
通期データを使用する場合は、5年程度の解析期間のデータを使用するのが妥当のようです。
解析精度を高めるために、固定費的要素の費用を費用額から控除する機能があります。
通期データを使用する場合
売上高は、財務表の”売上収益”
費用は、財務表の”売上原価”+”販売費及び一般管理費”ー”控除項目の金額”
控除項目としては、人件費、減価償却費、研究開発費等があります。
これらの科目は、元来固定的な費用であり操業度により変動するものではないからです。
四半期データを使用する場合
四半期財務表の金額は、累積金額が表示されているので、前期の金額の差分を求めて3か月間の金額に変換します。
控除する要素の控除額は、その要素の通期の金額の1/4を第1四半期、
第2四半期、第3四半期、第4四半期の費用金額から控除します。
控除する項目のみ、常に通期のデータを使用するのはプログラムの使い勝手を良くするためです。
(控除する要素は元来固定費なので四半期で変化しないとみなせる。
また、企業によって控除する要素のデータが通期のデータしか公開していない場合がある。)
成長性の分析のために、サステナブル成長率を求めます。
【注意】
配当性向は、配当の効力発生日が当期に属する配当を配当金とする。
当期の配当金は、キャッシュフロー計算書の財務活動によるキャッシュ・フローに記載されている。
ポートフォリオ理論の資本資産評価モデル(CAPM: Capital Asset Pricing Model)の自己資本コストを使用して、
割引現在価値モデルの残余利益モデルの株式価値を評価します。
当期純利益として1株当たりの当期純利益を入力した場合、株式価値は1株当たりの株式価値になります。
無リスク利子率として残余期間が10年の国債利回りの市場収益率の期間の平均値を使用します。
証券市場全体の投資収益率としてはTOPIXなどの市場収益率の期間の平均値を使用します。
【注意】
株式価値を計算する時、市場ベータ値の絶対値を使用します。
対象企業の投資収益と証券市場全体の投資収益が負の相関関係である場合ベータ値が負の値になる場合があるからです。
ここでは、機能ごとの処理について述べます。
処理の詳細は、それぞれの画面の[ページのヘルプ]を参照してください。
ほとんどのメニューやボタンにアクセスキーが設定されています。
新規にデータベースファイルを作成します。
ネットワークドライブ(NAS(network-attached storage))にも作成できます。
他のデータベースファイルを開きます。
登録済みレコードを削除した場合データ間に空き領域が残る場合があります。
そのような場合にデータファイルを整理してファイルサイズを縮小します。
数年に一回程度の実行で十分です。
バージョン10で作成したデータファイルから登録されたデータを取り込みます。
データは上書きされます。
バージョンアップした直後に一回だけ実施してください。
FSanalyzerツールで作成した分析データを転送します。
実行環境を設定します。
ここでは以下の項目の設定ができます。
EDINETコードを登録します。
XBRLファイル自動収集提出者を設定することができます。
コードリストは、提出者の基本情報あるいはファンドの基本情報を含んだデータです。
EDINETでは、提出者及びファンドは、EDINETコード及びファンドコードで管理されています。
提出者やファンドを名称で表示するためにこのリストを事前に登録しておく必要があります。
コードリストは1年に一回程度ダウンロードして更新することを推奨します。
また、ファンド名などが不明と表示された場合にも最新のコードリストを登録してください。
ファンドコードを登録します。
XBRLファイル自動収集ファンドを設定することができます。
2023年8月21日からEDINET APIバージョン2に移行されます。
バージョン2からAPI使用時にAPIキーを指定する必要があります。
APIキー取得の詳細は、EDINETサイト
を参照してください。
APIキーが空欄の場合は、EDINET APIバージョン1で通信します。
2024年3月以降バージョン1での通信はできなくなります。
ウインドウの表示フォントと作業フォルダを設定します。
FStateManがPDFファイルを表示するときにダウンロードしたファイルを保存します。
このフォルダ内のファイルは、削除してもFStateManの動作には支障ありません。
PDFファイルをダウンロードする場合、作業フォルダに目的のファイルが存在すればそのファイルを表示します。存在しないばあいダウンロードします。
EDINETサイトからAPI(Application Programming Interface)を利用して”提出書類一覧情報ファイル”をダウンロードします。
”提出書類一覧情報ファイル”を基に提出されたXBRLファイルをダウンロードして財務諸表を登録することができます。
EDINETに提出された書類の一覧情報を取得します。
この情報を基に必要な書類のXBRLファイルを登録したり、PDFファイルを表示します。
自動収集提出者に設定された企業のXBRLファイル登録は、ワンクリックでできます。
提出日を当日に指定すると、その時刻までに提出された書類の一覧情報が取得表示されます。
提出書類一覧情報は、提出日に提出された書類の情報リストです。
EDINETに提出された書類は、書類IDで管理されます。
XBRLファイルの登録、あるいは書類のPDFファイルを表示するために書類IDが必要になります。
過去10年間の情報を収集することができます。
有価証券報告書は、10年間閲覧期間が設定されているので、10年前までの報告書を参照することができます。
この処理は、サーバーへの負荷が高いので、平日の夜間あるいは休日に行ったほうが短時間で処理できます。
個別企業のXBRLファイルの登録は、[データ表示]>[企業一覧]>[書類一覧]でも可能です。
コードリストから検索した提出者の提出書類一覧を表示します。
FStateManに未登録な提出者の書類も表示できます。
ここで、XBRLファイルの登録も可能です。
TDnetサイトから決算短信を登録します。
決算短信は、EDINETサイトから同一会計期間の書類を登録した時点で表示されなくなります。
登録した財務諸表を表示します。
財務諸表は、XBRLファイルを登録しない限り表示できません。
XBRLファイルが登録された提出者を”登録企業”として、一覧表示します。
FStateManが対象にするのは登録企業だけです。
XBRLファイルが登録されていない企業やファンドは表示されません。
画面の左端の企業選択リストは”企業選択方法”の切替により、
○提出日順
○注目企業
○業種順
○コード順
で表示できます。
未登録企業でも、[書類一覧]>[書類一覧]画面で提出書類のPDFファイルを表示することはできます。
登録した財務データを表形式、棒グラフで表示できます。
売上高営業利益率などの財務比率を表示できます。
”書類一覧”タブで当該企業の提出書類の一覧を表示できます。
複数の企業を選択して、財務データを比較します。
複数企業のデータを表形式で表示できます。
複数企業の財務比率を表示できます。
財務諸表分析をFStateMan, StockManageプログラムと連動して実施します。
計算項目への勘定科目の設定方法
財務指標の計算項目への勘定科目の設定は、FStateManの表の表示画面から科目をマウスで
Drap&Dropすることにより設定します。
複数の科目を同時に選択してDrap&Dropできます。
【設定例のビデオ】
科目の金額の採用方法
分析時に科目の金額は連結優先です。
連結決算を採用している企業の場合は、科目の連結データを採用します。
単独決算のみの場合は、個別データを採用します。
自動設定
計算項目への科目の自動設定機能が用意されています。
同一業種企業の設定の統計データを基に最も適合する設定を採用する機能です。
したがって、100%の正確性を保証するものではありません。
計算項目 | 内容 |
---|---|
売上高 | 売上高の科目を設定します。 |
ROA 事業利益 | 営業利益と受取利息・配当金などの金融収益の科目を設定します。 |
ROA 使用総資本 |
負債及び資本合計を設定します。 期首と期末の金額の平均値を採用します。 |
ROE 当期純利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益を設定します。 |
ROE 自己資本 |
株主資本とその他の包括利益累計額を設定します。 期首と期末の金額の平均値を採用します。 |
研究開発費 | 研究開発費を設定します。 |
計算項目 | 内容 |
---|---|
当期純利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益の科目を設定します。 |
自己資本 | 自己資本の科目を設定します。 |
配当金 | 連結キャッシュフロー計算書の配当金の支払額の科目を設定します。 |
計算項目 | 内容 |
---|---|
営業利益 | 営業利益の科目を設定します。 |
金融収益 | 金融収益の科目を設定します。 |
金融費用 | 金融費用の科目を設定します。 |
損益分岐点を求めます。
計算項目 | 内容 |
---|---|
財務表 |
通期決算:12か月の財務データを基に損益分岐点を求める。 四半期決算:3か月の財務データを基に損益分岐点を求める。 |
分析期間 | 分析期間を設定します。 |
売上項目 | 売上高の要素を指定します。 |
費用項目 | 売上原価と販売費及び一般管理費の要素を指定します。 |
費用控除項目 |
財務表”連結損益計算書関係”などの表から固定費である要素を設定します。 四半期の財務表の要素は指定しないようにしてください。 |
株式価値評価モデルで分析します。
計算項目 | 内容 |
---|---|
市場コード |
市場収益率の証券コードを指定します。 一般的にTOPIXあるいは日経平均の証券コードを指定します。 StockManageでは、 TOPIX 1002 日経平均 1001 です。 |
市場収益率の期間(年) | ”無リスク利子率”、”証券市場全体の投資収益率”を求める期間です。 |
分析基準日 |
分析基準日=分析期間末日 + 1日 ”1株当たり当期純利益”をFStateManのデータから選択した場合は自動的に設定されます。 |
分析期間(月) |
”市場ベータ値”を計算する期間です。 分析期間=分析基準日 ー 分析開始日 |
1株当たり当期純利益(円) |
FStateManの財務データから選択します。 連結データが存在する場合は連結データを、個別データしかない場合は個別の1株当たり当期純利益が表示されます。 |
コマンド | 処理条件 |
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個別分析 | 企業個別単位での分析は、入力された分析条件に従って分析します。 |
業種単位分析 |
”市場コード”、”市場収益の期間”、”分析期間”は実行時に指定した条件を採用します。 ”1株当たり当期純利益”、”分析基準日”は財務諸表のデータから最新のものを採用します。 |
分析結果の一覧を表示します。
特定の業種のみの表示に限定することができます。
列のヘッダをマウスでクリックしてその列の値でソートすることができます。
無リスク利子率として財務省のサイトから国債利回りデータを登録します。
データは、過去の国債利回りデータと今月の国債利回りデータの二つのcsvファイルとして公開されたいます。
以下の画面の表示に関する操作です。
メッセージログが出力された場合に表示されます。
ログは、削除することができます。
削除方法
ログ画面でマウスの右ボタンを押下し、ポップアップメニューを表示し”クリア”を選択します。
皆様の意見は貴重な資源と考えております。